ケヤキの大木が見守る新生小学校/阿見町立本郷小学校 前島清校長先生、福井教頭先生
1902(明治35)年を創立年とする「阿見町立本郷小学校」。長い歴史がある同校だが、2018(平成30)年度に実施された「あさひ小学校」への分離と「実穀小学校」との統合により、現在は新たな校風を創り出している最中だ。校舎と校庭、その周辺に至極穏やかな時間が流れている同校を訪ね、分離・統合を中心にお話を伺った。
4年後には120周年を迎える
――まずは「本郷小学校」の沿革・概要を聞かせてください。
本校の創立は1902(明治35)年です。その後は「朝日第三国民学校」、「朝日第三小学校」へと校名が変わり、1952(昭和27)年には創立50周年を迎えました。最近の出来事としては、2014(平成26)年に本館耐震補強工事と体育館耐震補強工事を終え、その2年後にはトイレの改修と、エアコンの設置を済ませました。そして大きな出来事として、今年度は「あさひ小学校」への分離と「実穀小学校」との統合がありました。
――分離と統合は、児童だけでなく保護者にとっても大きな出来事だったと思います。
昨年度までは約870人の児童がいましたが、そこから約500名が「あさひ小学校」に移り、「実穀小学校」からは95名がやってきました。児童にとって、友だちがいなくなる寂しさと、知らない顔に囲まれるという不安な気持ちは相当なものだったと思います。
それを踏まえて、積極的に新しいことを始めるのではなく、足元を固める意味でも今年度は“なじむ”がキャッチフレーズです。先日、分離・統合に関するアンケートを実施したのですが、それによると児童もその保護者も、9割以上は新しい環境に慣れてきているということが分かりました。この数字を見る限りひとまず安心ですが、引き続き“なじむ”に注力していくつもりです。
――その“なじむ”についてもう少し聞かせていただけますか?
環境が大きく変わったので、学校行事を含めて全てを見直し、“去年はこうだったから、今年も同じに”という考えにならないように心がけました。これまでとは違うことで、戸惑う児童や保護者の方もいると思いますが、丁寧な説明により、ご理解・ご協力いただいています。創立116年という歴史のある本校ですが、現在は新しいものを創っているところです。
――力を入れていること、また取り組みなどについて教えてください。
特に意識していることは、子どもたちの自主性を伸ばすことです。中学校にある生徒会のような、児童会の活動を通じて、積極的に活躍してもらえたらと思っています。先ほども申し上げた“なじむ”を進めるにあたり、5・6年生が中心となって、【け】んかをしない・【や】さしい・【き】れいな心・【の】びのび成長・【気】持ちのよい学校というスローガンを決めました。それらの最初の文字をつなげると、本校のシンボルツリーである“ケヤキの木”と同じ音になります。
“おらが学校”の温かい眼差し
――地域・保護者との交流についても教えてください。
現在、「地域とともにある学校づくり」を進める法律に基づいて、コミュニティ・スクールの導入が進められています。これは学校だけでなく、保護者や地域全体が学校運営に関わっていくというものですが、本校の周りには応援してくれる方が大勢いらっしゃるので、よりスムーズに移行できるのではないかと思っています。現時点でも、本に親しんでもらうための読み聞かせをする「オリーブの会」というボランティアグループがあります。
地域交流に関しての補足になりますが、「旧・実穀小学校」のすぐ近くに「霞ヶ浦聾(ろう)学校」があり、同校の児童と交流がありました。「実穀小学校」が統合されることでこれまでの交流がなくなってしまうのは残念という意見があったので、規模は小さくなってしまいましたが、現在でも一緒に校外学習に行くなどの交流を続けています。
――最後に、学校周辺の魅力を聞かせてください。
歩いているだけで、気持ちを落ち着かせてくれる自然が残っていること。それとやはり、住んでいる方の温かさが魅力です。例えば近隣の方々が、何年もあいさつ運動をやってくれるなど、いつも温かく見守ってくれます。全体的にのどかな雰囲気があり、新しい方を温かく受け入れてくれる土壌があるように感じます。

阿見町立本郷小学校
所在地:茨城県稲敷郡阿見町荒川本郷1400
URL:http://www.town.ami.lg.jp/category/9-7-0-0-0.html
※この情報は2018(平成30)年9月時点のものです。